日経225先物の計画性
証券化の利用は増えています。
不動産関連を中心に証券化金融商品の発行額は大きく増え2000年度だけでも2兆4000億円に達するとされます。
さらに2001年から住宅金融公庫が住宅ローンの証券化を開始し近い将来に日本版GNMA(FNMAもしくはFHLMC)が登場することも期待されます。
今後より一層の制度上の基盤整備がなされ金融市場の直接金融化の進展とともにその利用が浸透するにつれわが国での資産の証券化市場は一層拡大するものと期待されているのです。
ローンを貸付けている金融機関は将来その返済金を受け取ります。
売掛金を保有する事業会社は将来その支払いを受け取ります。
資産の場合は金銭債権を保有すればそれから将来キャッシュフロー(金銭的収益)が得られるわけです。
一言で言うなら資産の証券化とはこのような個々の資産が将来生み出すキャッシュフローを裏付けに支払いを行う証券を発行し売却することです。
より正確には次のように定義されます。
資産の証券化とは金融機関や事業会社が特定の資産の保有を目的とする別の主体(特別目的事業体)を設立してそこに自ら保有する資産を移転しさらに移した当該資産が将来生み出すキャッシュフローを原資として支払いを行う金融商品(証券)を発行し売却する手法である。
このように書くと複雑そうに見えますが基本的な仕組みは非常に単純です。
ここではローンの貸し手の金融機関は貸付けの見返りに返済金を受け取りますから住宅ローン債権が資産として将来生み出すキャッシュフローはその返済金となります。
これを証券化するために債権者である金融機関はまず譲渡もしくは売却という形式で住宅ローン債権を特別目的事業体(SPV)に移します。
ここで特別目的事業体とは証券化する資産の保有を目的に設立される組織のことです。
SPC組合などの形態をとります。
わが国のSPC法で制定されたSPC(特定目的会社)もこの一種です。
さらに債権を譲り受けた特別目的事業体は受け取る返済金というキャッシュフローを原資として元利金や配当を支払う証券を発行しそれを投資家に売却します。
これが住宅ローン債権の証券化の基本的な仕組みというわけです。
この仕組みは住宅ローン以外の債権にも使えます。
住宅ローン債権を他の種類の債権に置き換え返済金や元利金・配当等の資金の流れをたどってみれば同じような仕組みで証券化か行えることがすぐにわかります。
事実これまでに自動車ローン債権リース・クレジット債権売掛債権といった金融機関や事業会社が保有する様々な債権が同様の仕組みを利用して証券化されています。
またその市場規模もますます増大しているのです。
さらに考えを進めれば債権でなくとも同様の仕組みを利用して証券化かできることがわかります。
返済金の代わりにキャッシュフローを入れれば同様の仕組みの中に同様の資金の流れを生み出すことができるからです。
「債務者」を「資産」「債権者」を「資産保有者」「返済金」を「キャッシュフロー」と置き換えてみればこれは明らかです。
原理的にはキャッシュフローを生み出す資産であれば何でも証券化できるはずなのです。
実際この仕組みを応用して大規模自然災害がもたらす損害への保険金支払いのリスクや気温など天候の変動に起因するリスクも取引されるようになって来ています。
このように証券化の仕組みは単純でありそれゆえに広く応用できます。
個々の資産が生み出すキャッシュフローを原資として支払いを行う証券を発行・売却する手法として証券化の対象範囲は広くしかも拡大を続けているのです。
証券の売却益が特別目的事業体(SPV)を通過し資産(債権)の譲渡・売却代金として最終的にはそもそもの資産保有者(債権者)の手に渡ります。
このためそもそもの資産の所有者は証券化を行うことによって資産を直接売却した場合と同じように売却益を手に入れることができます。
証券化にはまずこのような「資金調達」の機能があります。
第二の特徴は証券化を実行することによって資産的な受け取り手がそもそもの資産保有者から証券の購入者へと変わることです(下段右向きの矢印)。
貸したお金が返って来ないことがあるように資産が生み出すキャッシュフローは不確実に変動します。
資産の保有者はその資産を保有し続ける限り資産が生み出す不確実なキャッシュフローを受け取らなくてはならないというリスクを抱えることになります。
しかしながらもしもその資産を証券化して売却するならば資産が生み出す不確実なキャッシュフローを受け取るのは、今度は証券の購入者に変わります。
収益の変動のリスクを抱えるのがそもそもの資産保有者から証券の購入者へと変わるわけです。
このように証券化には資産の収益に関する不確実性をそもそもの資産保有者から証券化商品を購入する別の主体に移す「リスク移転」の機能もあります。
証券化には他にも様々な機能や利点がありますが資金の流れという点から見た場合これらの「資金調達」と「リスク移転」が証券化の最も基本的な機能となります。
しかしここで疑問にぶつかります。
もしもそれだけのことならどうしてこのような仕組みが証券化に必要なのでしょうか。
特別目的事業体(SPV)なるものにいったんわざわざ資産を移し替えるという作業がある等証券化の基本的な仕組みは非常に奇妙なものに見えます。
この疑問への答えは「リスクのコントロール」という点にあります。
証券化は資産が生み出すキャッシュフローを証券の支払い金の形に変えて証券として売却することでした。
しかしながら資産のキャッシュフローは不確実に変動します。
証券の発行者が倒産してしまう可能性もあります。
このため発行された証券がその購入者に元利金や配当として支払う金額はこれらの様々な要因のため不確実に変動することになります。
そこでこのような不確実性にも関わらず発行証券が円滑に取引されるためにはこれらのリスクをコントロールすることが必要となるのです。
奇妙に見える証券化の仕組みも実はこのようなリスクをコントロールするための工夫なのです。
証券化の仕組みはリスクのコントロールを可能にする以外にも様々な利点を生み出します。
後述しますが例えば特別目的事業体に譲渡・売却することで対象資産の所有権をそもそもの所有者から法的に切り離せること自体が証券化を行うそもそもの資産保有者に会計上の価値を生み出します。
多くの異なる種類の資産を対象とする様々な証券化か基本的な仕組みを大きく変えることなく実行されているのもこのような利点の多さによるものとも言えるでしょう。
具体的なイメージをわかせるためにまず米国における発展の歴史に沿いながら証券化の主な例を簡単に紹介しましょう。
先に述べたように証券化金融商品はまず住宅ローン債権を対象に開発されその後その手法が他の資産へ応用されることで発展を遂げてきました。
このような歴史的経緯のため証券化は通常不動産ローン債権を対象資産とする証券化とそれ以外の資産を対象とする証券化に大別されます。
不動産ローン債権を対象資産とする証券化の主要な例がMBS(モーゲージ担保証券)と総称される証券化金融商品です。
MBSは多くの個人向け住宅ローン債権をひとまとめにしてプール(POol)を作りそのプールを対象資産として(すなわちプール全体で生み出されるキャッシュフローを原資として)証券化します。
主なものはモーゲージ・パススルー証券です。
これはプールが生み出すキャッシュフロー(プールされた個人向け住宅ローンの返済金の総計)をほぼそのまま発行証券の支払い金として購入者に渡す証券です。
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